マチネの終わりにより

 音楽は、静寂の美に対し、それへの対決から生まれるのであって、音楽の創造とは、静寂の美に対して、音を素材とする新たな美を目指すことのなかにある。

 人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で感じやすいものじゃないですか?

 誤った道は必ず行き止まり、正しい道へと引き返さざるを得ない迷宮より、むしろ、どの道を選ぼうとも行き止まりはなく、それぞれ異なる出口が準備されている迷宮の方が、遥かに残酷なのだと思った。

 自由意志というのは、未来に対しては無くてはならない希望だ。自分には、何かが出来るはずだと、人間は信じる必要がある。だからこそ、過去に対して悔恨となる。何か出来たはずでは無かったか、と。運命論の方が、慰めになることもある。

 貧乏なのは音楽の才能の問題ではなく、肌の色に関係があったのだ。

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