「原因と結果」の経済学 中室牧子 津川友介

本棚(88)

はじめに

 メタボ検診を受けていれば長生きできるのか

 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか

 偏差値の高い大学へ行けば収入は上がるのか

 「因果推論」を理解すれば思い込みから自由になれる

第1章 根拠のない通説にだまされないために

 「因果関係」「相関関係」とは何か

 因果関係を確認する3つのチェックポイント

 1,「まったくの偶然」ではないか

 2,「第3の変数」は存在してないか

 3,「逆の因果関係」は存在してないか

 因果関係を証明するのに必要な「反事実」

 タイムマシンがないと反事実は作れない

 反事実を「もっともらしい値」で穴埋めする

 「比較可能」なグループでないと穴埋めはできない

 反事実を正しく想像できないと根拠のない通説にだまされ

第2章 メタボ検診を受けていれば長生きできるのか

 「実験」を使えば因果関係を証明できる

 なぜランダムに振り付けないとダメなのか

 「メタボ検診」と「長生き」のあいだに因果関係はあるか

 「統計的に有意」とは

 検診を受けていても長生きにはつながらない

 1200億円の税金が投じられたメタボ検診

 「医療費の自己負担割合」と「健康」のあいだに因果関係はあるか

 ランド医療保険実験の結果

 自己負担割合を高くしても、貧困層以外の健康状態は変わらない

第3章 男性医師は女性医師より優れているのか

 手元にあるデータを用いて、実験のような状況を再現する

 「医師の性別」と「患者の死亡率」のあいだに因果関係はあるか

 女性医師が担当すると患者の死亡率が低くなる

 「出生時体重」と「健康」のあいだに因果関係はあるか

 出生時体重が重いあかちゃんは健康状態がよい

第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか

 実験をまねる「疑似実験」

 前後比較は意味がない

 前後比較が使えない2つの理由

 去年の売上が「反事実」ならば前後比較は有効だが

 前後比較デザインを改良した「差の差分析」

 差の差分析が成立するための2つの前提条件

 「認可保育所の数」と「母親の就業」のあいだに因果関係はあるか

 認可保育所を増やしても母親の就業率は上がらない

 「最低賃金」と「雇用」のあいだに因果関係はあるか

 最低賃金を上げても雇用は減らない

第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか

 新聞の広告料割引キャンペーンを利用する

 操作変数法が成立するための2つの前提条件

 「テレビの視聴」と「学力」のあいだに因果関係はあるか

 テレビを見ると偏差値が上がる

 「母親の学歴」と「子どもの健康」のあいだに因果関係はあるか

 母親が大卒だと生まれてくる子どもの健康状態がよい

第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか

 「49人の店舗」と「50人の店舗」の違いを利用する

 回帰不連続デザインが成立するための前提条件

 「友人の学力」と「自分の学力」のあいだに因果関係はあるか

 学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない

 「高齢者の医療費の自己負担割合」と「死亡率」のあいだに因果関係はあるか

 高齢者の医療費の自己負担割合が増えても死亡率は変わらない

第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか

 似かよった店舗を探し出す

 複数の共変量をひとまとめにする

 「プロペンシティ・スコア・マッチング」

 プロペンシティ・スコア・マッチングが成立するための前提条件

 「大学の偏差値」と「収入」のあいだに因果関係はあるか

 偏差値の高い大学に行っても収入は上がらない

第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」

 因果関係の評価に適さないデータしかないときは

 データを表現する「最適な線」を引く

 交絡因子の影響を取り除いてくれる「重回帰分析」

  「原因と結果」の経済学 ― データから真実を見抜く思考法

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