左官の金太郎は、三両の金が入った財布を拾い、
一緒にあった書付を見て持ち主に返そうとする。
財布の持ち主はすぐに大工の吉五郎だとわかるが、
江戸っ子である吉五郎はもはや諦めていたものだから金は受け取らないと言い張る。
しかし、金太郎もまた江戸っ子であり、是が非でも吉五郎に返すと言って聞かない。
互いに大金を押し付け合うという奇妙な争いは、ついに奉行所に持ち込まれ、
名高い大岡越前(大岡忠相)が裁くこととなった。
双方の言い分を聞いた越前は、どちらの言い分にも一理あると認める。
その上で、自らの1両を加えて4両とし、
2両ずつ金太郎と吉五郎に分け与える裁定を下す。
金太郎は3両拾ったのに2両しかもらえず1両損、
吉五郎は3両落としたのに2両しか返ってこず1両損、
そして大岡越前は裁定のため1両失ったので、
三方一両損として双方を納得させる。
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