
── やめた理由こそ、働き方の地図を描くヒントだった
退職の少し前から、副業を始めた。
会社員としての暮らしにどこか違和感を覚え、「そろそろ辞めたい」という思いが湧いていた。
副業は、それに向けて自分が納得するための“出口”でもあった。
他人の期待や世間の常識に従って選んできた人生。
副業を始めたのは、はっきり言って「自分で決めた」ことであり、それは本音を探る作業でもあった。
仕組み化をめざして始めた副業のリアル
FXとせどりを選んだ理由は、仕組み化して自動化することができそうだったから。
自分のリソースを考えて、「資金と時間が必要になること」も想定済みだった。
だからこそ、少しずつ準備を重ね、形にしてきた。
でもやっていくうちに、ふと立ち止まる場面があった。
「達成できないから、継続できるのかも」
「逆に、達成してしまったら、飽きてしまうかもしれない」
副業は“ゴールに向けた手段”だったはずなのに、いつしか「何のために働くのか」を問う時間に変わっていた。
本業はなくてもいい? 働き方の軸を問い直す
FXもせどりも、今も継続している。
でも、それを「本業にしたいか」と問われると、正直そうは思えない。
夢中になれないというよりは、「人生の柱としては違う」と感じている。
その違和感の奥には、「自分の働き方は“どういう時間の使い方なのか”」という感性が眠っていた。
むしろ、“本業を持たない”という選択肢もあるのかもしれない。
散歩や読書、ブログを書く時間。
収益にならないけれど、心が納得して使える時間。
その感触が、自分にとっては働き方の軸だった。
問いを立てながら、自分の働き方を再構成する
「やりたいことを決めるにはどうしたらいいか?」
そんな問いに向き合うために、自分なりに手順を作った。
- 大事なこと(価値観)──なぜ仕事をするのか?
- 得意なこと(才能)──どうやって仕事をするのか?
- 好きなこと(情熱)──何の仕事をするのか?
この3つを自問自答することで、ようやく「自分の仕事観」が見えてきた。
儲からなくてもいい? でも儲からないと辞めたい?
副業に取り組む中で、何度も矛盾した気持ちが生まれた。
「儲からなくてもいい」と思う日もあれば、
「儲からないから辞めたい」と思う日もある。
この揺れは、他人軸の考え方がまだ残っている証かもしれない。
「やりたいことだけをやって生きる」には、もう少し時間がかかる。
でもその揺れが、自分の働き方を育ててくれているとも思える。
“億り人”ではなく、“悟り人”をめざして
かつては「億り人になりたい」と思った。
でも今は、「悟り人になれたらいいな」と思っている。
数字も戦略も必要。
けれど、それ以上に信じたいのは「自分で選んだ時間」の価値。
ちょうどいいペースで、ちょうどいい仕事。
暇すぎず、忙しすぎず。
心身に余白が残る働き方。
それが、“ウェルバランス”という自分なりの働き方なのかもしれない。
📌 次回予告:
番外編③|「効いた“問いの立て方”」──考えが動き出す瞬間をつくる7つの視点
シリーズを通して浮かび上がってきた“問いのクセ”。
その中で、実際に思考が深まった問いの形を振り返ります。