── “問い”を起点にしてたどった、働き方再構成の5話とその先へ

「何かを終えたあと、次に何をすればいいか分からなくなる」
これは退職を機にブログを始めたとき、最初に直面した感情でした。
でもそのモヤモヤは、“暇になったから”でも、“老後が不安だから”でもなかったと思います。
モノを片づけたら見えてきた。
自分の時間も、キャリアも、どこか整理されずに残っていた。
そして気づいたんです。
——働き方にも、“戦略”がいるんじゃないか、と。
このシリーズ③では、「キャリアを戦略的に再構成する」というテーマのもと、
50代で会社を離れた自分がどんな“問い”と“違和感”を手がかりに働き方を見直してきたかを綴ってきました。
ここでは、その5話を振り返りながら、次につながる道を整理してみようと思います。
第1話:働き方の“編集権”を取り戻すとき、自由と責任が同居する
会社を辞めた日。最初に訪れたのは、「時間の空白」でした。
でもそれは、真っ白なスケジュール帳という意味ではなく、
「この時間をどう使うか」を自分で決めるという問いとの出会いでした。
会社に所属していたころ、働き方には“型”がありました。
でもその型を外れたとたん、“編集権”が自分に戻ってくる。
選ぶのも自分。
何をしないかを決めるのも自分。
——それって、思っていた以上に大変な自由だということに気づきました。
第2話:肩書きがなくなったとき、自分を語れなくなった
「今、何してるんですか?」
会社を辞めて初めて聞かれたこの問いに、うまく答えられなかった。
副業もしている。でも“仕事”と言えるほどのものではない。
そうなると、肩書きのない自分をどう説明すればいいのか分からなくなる。
ハローワークで受けたキャリア診断では、興味・適性・価値観のどれもが“平均値”。
「器用ですね」とは言われたけれど、自分の中では何かが抜け落ちたような気がした。
ここでの気づきは、
「自分を、履歴書ではなく“視点”から捉え直す必要がある」ということでした。
第3話:やってみた“副業”は、自分の棚卸しだった
始めたのはフリマ販売。
仕事としての収益よりも、「持ち物を整理すること」が目的でした。
でも、手放すモノ・残すモノを選ぶ中で、
自分の“選び癖”や“もったいなさへの執着”が見えてきた。
それはキャリアにも同じことが言えると気づいたんです。
整備→開発→知財と歩いてきた流れは、
モノづくりの流れを「下流から上流へ」とたどるような歩き方だった。
それは無意識のうちに、自分が「問いの源流」に近づこうとしていた証かもしれない。
第4話:キャリアを解体したら、うまく組み上がらなくなった
履歴書を書いてみて驚いた。
社内ではそれなりに重ねてきたはずのキャリアが、
社外では「使える形」になっていなかった。
退職とともに“本業”がなくなり、副業を本業にしてみようかと思うと、
“副業”という言葉も意味をなくしていった。
求人票の「できそう」は、「できる」とは違う。
会社は“準備中の人”ではなく、“即戦力の人”を求めていた。
でもここでもう一つの問いが立ち上がった。
——“過去”をどう使うかを決めていいのは、自分だけではないか?
第5話:書いてみたら、“問いのクセ”でこれまでがつながった
何を書けばいいか分からないところから始めたブログは、
結果的に“自分の働き方の地図”を描き直す作業になっていました。
整備の原因究明、開発での妥協案検討、知財での背景読み取り。
どれも、仕事は違うけれど、「問いの立て方」には一貫性があった。
自分が大切にしてきたのは、“答える”ことよりも“問う”ことだった。
書くことでようやく見えてきたその姿勢は、
次の働き方を設計するうえで“武器”になってくれる気がしています。
そしてこれから──“問いを持ち続ける”という戦略
この5話を通してわかったのは、
戦略とは「完璧な正解を探すこと」ではなく、
「自分にとって意味のある問いを持ち続けること」だということ。
キャリアを活かす、活かさない。
ゼロから始める、組み直す。
どちらを選んでもいい。
でもそのとき、
「何のために働くのか」「どうありたいのか」
という問いを忘れなければ、選び方も変わってくる。
📌次は「番外編」へ
シリーズの中で触れきれなかったけれど、
実は根底に流れていた“問い”や“迷い”を深掘りする番外編をお届けします。
- 「お金と時間」──自由になったのに、なぜ不安なのか
- 「副業の実験」──やってみたけれど、続かなかったことの意味
- 「自分に効いた問い」──振り返りを促す7つの視点
働き方を整えるとは、“働く”という言葉の定義を編みなおすこと。
まだまだ、書いておきたいことがあります。
🔗 この連載の一覧はこちら:
📘 [セカンドキャリアを組み直す50代の記録]